「恋に落ちた犬のように繊細で 二人の新しい相対性を目論んでいる」
そんなパンチラインで始まる、nujabesの繊細なビートに乗せてSHing02が「音楽の女神に宛てて」書いた手紙Luv(sic)は世界に産み落とされた。
目次
Luv(sic)(ラブシック)とは
2010年、36歳の若さで亡くなった稀代のトラックメイカーNujabesu(ヌジャベス)と独自の感性でポエトリーリーディング的なバイリンガルラッパーSing02(シンゴツー)の共作。
メタフィジカルな世界を「音楽の女神に宛てて」書いた手紙であるLov(sic)と言う曲。12年の月日をかけて完成した六部作(ヘクサロジー)であり、2000年に処女作「luv(sic)」の発表から16年が経っても今なお、世代を越えて世界中でリスナーに愛される不朽のシリーズです。
Lov(sic)からLuv(sic)Part6 Grand Finaleまでの6部構成のシリーズ曲であるが、もともとはpart3で3部作として完結する予定だった。
その後もNujabesが新たな続編をやりたいと持ち掛けそれに相応しいビートが出来たために続編を作る事が決まった。しかし、彼は旅立ってしまった。
新しい三部作はそれぞれ「出会い」「別れ」「再開」をテーマに描かれる事に決まっていた。
part5は別プロジェクトの予定だった暗めのビートをShing02の希望で受け入れられた。
Part6はNujabesの携帯にLuv(sic) Grand Finaleの題名で曲の断片が残っていて聴いて、一瞬で相応しいと思い彼らの仲間たちと再構築してGrand Finaleに相応しい曲が完成した。
Luv(sic) Part1
君について想うことは本を書いても足りないよ
とりあえず君のために書いたこの歌はどうですか?
ドラムのみのイントロから始まるLuv(sic)シリーズの幕開けにふさわしい曲。よくヒップホップのビートはドラムの音を聴いたらその人のヒップホップに対しての理解が分かるとよく言われますが、この曲もミドルスクールの流れを汲んだドープな曲です。
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Luv(sic) Part2
愛しい人よ、どこから始めようか
ここにあなたを見つけることができた、言葉を失うほどの幸せ
911の直後で世界が沈んでいた時に産み落とされた曲。Shing02がインタビューで言っていたように絶望の中の希望について歌っていて、優しさで包み込まれるような温もりを感じる曲です。
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Luv(sic) Part3
音楽が時を繋げるなんて可笑しいね
人生のサウンドトラックをかけて行こう
Luv(sic)シリーズの中では有名であり海外で最も人気のある曲。前作に比べてメロディアスになったビートですがヒップホップらしさも忘れないNujabesならではの曲に仕上がっています。
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一旦はPart3でLuv(sic)シリーズ三部作は完結していますが、Mujabesの意向で新たなLuv(sic)の作成が決まりました。Luv(sic)三部作は「出会い」「別れ」「再開」をテーマに描かれる事になり、それに伴いShing02はNujabesの才能を信じて前作以上のクオリティーのビートを作る事を条件に続編のオファーを受けました。
葛藤や挫折の末、Nujabesはプレッシャーに打ち勝ちLuv(sic)の続編にふさわしいビートを完成させました。そしてラップを録音する数日前に交通事故でこの世を去ってしまいました。あまりに突然の事で心にぽっかりと穴が開いたような、目の前の時間が止まってしまったような状態になっていました。
世界が悲しみにくれる中、Shing02とMujabesのレーベルのスタッフは彼の音楽に対する熱い想いを継いでLuv(sic) Part4を完成させたのです。
Luv(sic) Part4
家族に感謝する十一月
寒いけどほっとする十二月
また最初に戻って来たから、始めようか
Nujabesが遺したビートの上で再びShing02が音楽の女神に手紙をしたためる。この曲がリリースされたことによって世界中のリスナーがどれだけ救われて涙を流して喜んだだろうか。まさに音楽に心が動かされる瞬間を証明した曲です。
前半の三部作と比べてやはりどこか哀愁を漂わせているビートになっています。
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Luv(sic) Part5
ひとつの木が世紀の終わりまで生きようと
突然、誰かに摘まれてしまっても
命は芸術であり、全員が信じれる奇跡
あなたは美しく生きたんだと伝えたい
このビートは当初Nujabesが暗い曲調のためLuv(sic)シリーズにふさわしくないと言っていた通りシリーズの中で「別れ」がテーマの曲でもあり暗めの曲になっています。友を失ったつらさと正面から向き合い、そして再び前を向いて歩き出す決意表明にも感じられる個人的には思い入れの強い曲です。
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Luv(sic) Part6 Grand Finale
ワインは葡萄のスピリット
始めた事を終わらせよう、テープを切る
僕たちのレコードは回り続ける
NujabesはLuv(sic)シリーズのラストをどの様な形で締めくくろうとしていたのでしょうか?それは誰にも分かりませんが完成したこの曲を聴いたら間違いなく空の上から喜んでくれている事でしょう。
Luv(sic)シリーズのラストを飾るに相応しい壮大な曲。音楽の女神との物語はフィナーレを迎えましたが、Nujabesの音楽はこれからも世界中で世代を超えて聴き続けられる事でしょう。
また、Luv(sic) Part4以降でNujabesの代わりにミックスを担当していたUyama HirotoのLuv(sic) Part6 Remixはアコギとピアノの音色がここがゴールでなくこれからも続いて行くんだと言う事を予感させるオリジナルとは違った良さの素晴らしい曲です。
また、シリーズ唯一のMVが作られているのでLuv(sic)の世界観を耳だけでなく目でも聴く事が出来ます。贅沢。
Luv(sic) Part6 Uyama Hiroto Remix feat.Shing02
あとがき
Luv(sic)シリーズの曲は聴くたびに新しい発見があったり、突然私の心を揺さぶってくる。音楽に対してバカ正直に向き合ってきた二人の音楽だからこそここまで人の心を動かす素晴らしい音楽が生まれるのでしょう。
この物語は今も世界中で誰かの心を動かし続けています。そしてまたその人だけのLuv(sic)が描かれていく事でしょう。
Luv(sic) シリーズが揃うのはこのアルバムだけです。
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